2026.01.11 12:35とっても楽しかった美術活動実践報告とっても楽しかった美術活動実践報告― 粘土造形から描画表現へと展開する想像的活動の心理学的・療育的分析 ―1.活動概要本日の美術教室(1月11日)では、年齢の異なる6名の子どもを対象に、① 粘土を用いて頭の中に浮かんだイメージを立体化する活動② 完成した立体作品をもとに絵として再表現する活動という二段階の制作プロセスを実施した。本活動は、見本や正解を提示せず、子ども一人ひとりの内的イメージを起点とした自由表現を重視する構成であり、想像力を十分に膨らませながら制作に没入できる環境が整えられていた。2.心理学的分析2-1.想像(イメージ)と表象変換能力本活動の最大の特徴は、内的イメージを複数の表象形式(立体→平面)へと変換する経験にある。これは認知心理学に...
2026.01.07 14:50想像と論理、感覚と感情が同時に働く療育的活動知育パズル型ビー玉転がしタワーに夢中になる体験は、単なる「遊び」ではなく、想像と論理、感覚と感情が同時に働く療育的活動として高い価値を持ちます。以下、想像的・思考的・観ること(知覚)という三つの軸から、特に発達に課題のある子どもの療育的意義を整理して解説します。① 「観ること」から始まる療育 ― 知覚と思考の起点ビー玉転がしタワーの最大の特徴は、「まず観る → 次に考える → そして試す」という自然な認知プロセスを引き出す点にあります。● 知覚統合の視点• ビー玉の動き・速度・落下方向• パーツの形・角度・高さ• 音や転がるリズムこれらを同時に観察することで、視覚・触覚・聴覚・固有感覚が統合されていきます。▶︎発達に課題のある子どもにとって「観ること」...
2025.12.24 14:55子どもの美術活動が育む「生きる力」に関する解説。子どもの美術活動が育む「生きる力」に関する解説。幼児期を含む子どもたちが美術活動に取り組む過程は、単なる造形技能の獲得にとどまらず、思考・アイデア生成・能力の統合、そして完成へと至る一連の認知的・心理的プロセスを内包している。これらのプロセスは、発達心理学および教育学の観点から「生きる能力(life skills)」の基盤形成に深く関与していると考えられる。1. 思考とアイデア生成:内的表象の形成と拡張。美術活動における思考とは、外界の刺激や内的経験(記憶・感情・想像)をもとに、頭の中にイメージを構築する過程である。特に幼児期は、言語的思考よりも感覚的・直感的思考が優位であり、美術表現はこの段階における最も自然な思考様式の一つである。このとき子どもは、...
2025.12.23 14:50子どもの手子どもの手子どもの手は、単なる「道具」ではありません。そこには、感じたことを受け取り、考え、想像し、形へと導く力が宿っています。一本の線、ひとつの色、そのすべては手を通して心とつながり、まだ言葉にならない思いまでも表現へと変えていきます。子どもたちは、手を使うことで未知の世界を創り出します。それは正解のある作業ではなく、自分だけの発想を試し、広げ、深めていく行為です。その過程にこそ、創造性や主体性、そして生きる力が育まれていきます。障害の有無は、創造の本質とは関係ありません。鉛筆の持ち方や手の使い方が一般的でなくても、それは「間違い」ではなく、その子なりの表現のかたちです。大切なのは、どのように持つかではなく、何を思い、何を生み出そうとしているのかとい...
2025.12.22 14:55子どもの眼子どもの眼子どもは、日々の世界をどのように見ているのでしょうか。おとなが見過ごしてしまうような小さな変化、ささやかな光や色、形の違いに、子どもは立ち止まり、じっと眼を向けます。道ばたの石ころ、壁に映る影、偶然できた絵の具のにじみ。それらはおとなにとって「背景」でも、子どもにとっては「発見」です。その発見の瞬間、子どもの心の中では「これは何だろう」「どうしてだろう」という問いが生まれ、想像が静かに広がっていきます。子どもが何かに夢中になるとき、そこには必ず“感じる”体験があります。美しい、ふしぎ、ちょっと怖い、おもしろい——言葉になる前の感情が、制作への意欲を芽生えさせます。描くこと、つくることは、その感情を確かめる行為であり、自分なりの答えを探す過程で...
2025.12.21 11:20今日の美術教室。今日の美術教室。あらゆる美術実践における子どもの想像性・受容性と指導者の省察1.背景・目的事前準備が十分でなかったものの、実施された美術教室において、子どもたちが示した想像性・発想の柔軟性、およびその過程を俯瞰的に捉えた指導者自身の省察を記録・分析することを目的とする。特に、計画された教材や画材の有無が、子どもの想像的思考にどのような影響を及ぼすのかについて、実践を通して考察する。2.実践の概要本実践は、前日に突発的な依頼を受けて開講した美術教室である。指導者は依頼を受諾したものの、当初想定していた画材が揃わないという不安を抱えた状態で臨んだ。しかし、教室開始後、子どもたちはその状況を抵抗なく受け入れ、提示された環境の中で主体的に制作活動へと没入してい...
2025.12.18 11:25想像を表現へと転換する過程は、内的イメージの生成、感情の喚起、象徴化、そして運動表出という複数の認知・心理機能を統合的に働かせる活動発達に課題のある子どもたちが、楽しいクリスマスという情緒的に肯定的なテーマを想像し、サンタクロースを自由に描く活動は、発達心理学および教育心理学の観点から重要な教育的意義を有する。想像を表現へと転換する過程は、内的イメージの生成、感情の喚起、象徴化、そして運動表出という複数の認知・心理機能を統合的に働かせる活動である。特に発達に課題のある子どもにとって、言語化が困難な感情や思考を視覚的表現として外在化できる点は、自己理解や情動調整の促進に寄与する(Vygotskyの象徴機能論に基づく)。さらに、作品を完成させる経験によって得られる達成感は、Banduraの自己効力感理論における「遂行達成経験」として位置づけられ、自身の能力を肯定的に認知する基盤となる。...
2025.12.10 10:35今日はマーブルランの活動を行いました。今回は、アートではなく、想像に焦点を当ててみました。今日はマーブルランの活動を行いました。子どもたちは「ピタゴラスイッチ」を思い浮かべるように、頭の中のアイデアを試しながら、“不可能を可能にしていく”創造的な挑戦に取り組みました。活動の中では何度も失敗を経験しましたが、そのたびに「どうすればうまくいくか」を自ら考え直し、工夫し、再挑戦する姿が見られました。このプロセスこそが、教育心理学でいう**探索的学習(trial and error learning)**であり、失敗を通して思考と行動を修正し、より良い解決方法へ向かう重要な学びです。また、行動心理学の観点では、成功に近づくたびに得られる達成感が「強化」となり、さらに取り組もうとする意欲(内発的動機...
2025.12.09 14:55ダンボール工作の発育的意義〈ダンボール工作の発育的意義〉― 3週間集中して仕上げた作品から見える発達 ―今回の作品は、3週間という長い期間、集中力を切らすことなく取り組み続けた点に大きな成長が見られます。ダンボールや割り箸、紙を組み合わせ、細部にまで工夫して仕上げた姿には、子どもの想像力・計画性・遂行機能が豊かに働いていました。■ 1. “頭の中の設計図”を形にする【認知発達】実際に紙に描いた設計図がなくても、「頭の中に完成形がイメージでき、それを作りながら微調整していく」これは、幼児期後半に育つ 心的イメージ力(メンタルイメージ) の発達を示します。心的イメージを保持し、作業しながら修正し続ける力は、● 問題解決● 創造的思考● 作業記憶を支える重要な認知能力です。■ 2. ...
2025.12.09 11:20色画用紙で帽子作りをやり遂げた活動の心理学的・学習的意義色画用紙で帽子作りをやり遂げた活動の心理学的・学習的意義1. 「周囲の刺激に影響されず、自分の表現を続けた」ことの意義周りにさまざまな遊びがある環境は、幼児にとって大きな誘惑です。その中で制作活動を続けることができたという事実は、 • 選択的注意(Selective Attention)必要な刺激にだけ意識を向け、不必要な刺激を抑制する力。幼児期に育まれる重要な認知機能で、学習場面の集中力の基盤となる。 • 自己調整能力(Self-Regulation)「今はこれを完成させたい」という内的動機を維持し、外の刺激に流されない力。この2点がとてもよく発揮されていたと言えます。これは 将来の学習態度や課題遂行スキルにもつながる大きな成長です。2. 「失敗して...
2025.12.07 07:25今日の美術教室 ふりかえり今日の美術教室 ふりかえり今日は美術教室の初日ということもあり、いきなり画用紙に向かうのではなく、まずは「楽しさ」と「想像の扉」を開く活動として、ネコのお面づくりに取り組みました。はじめての環境では緊張しやすい子どももいますが、お面という立体的で親しみやすい題材は、自然と手を動かしやすく、想像を引き出すきっかけになります。作業が始まると、子どもたちはそれぞれの“お気に入りのネコ”を思い浮かべながら、色を選び、模様を考え、ひげや耳の形にも工夫を凝らしていました。仕上がったお面はどれも個性が光り、可愛らしさの中に、その子らしい発想がはっきりと表れていました。僕自身も、子どもたちが楽しそうに手を動かし、思いついたことを口にしながら形にしていく姿にたくさんの刺...
2025.12.06 06:55OECD教育からみた、創造性に対する美術教育。OECD教育からみた、創造性に対する美術教育。―Art Education and Creativity in the OECD Education 2030 Framework―1.序論:なぜOECDは「創造性」を重視するのか。OECD Education 2030では、子どもが将来の“ 未知の課題へ主体的に対処する能力(transformative competences)”を身につけることが強調される。その中心にあるのが、 • 創造性(Creativity) • 批判的思考(Critical thinking) • 協働性(Collaboration) • メタ認知(Self-regulation)これらは「知識」だけでは身につかず、経験的・探究...