2026.01.11 12:35とっても楽しかった美術活動実践報告とっても楽しかった美術活動実践報告― 粘土造形から描画表現へと展開する想像的活動の心理学的・療育的分析 ―1.活動概要本日の美術教室(1月11日)では、年齢の異なる6名の子どもを対象に、① 粘土を用いて頭の中に浮かんだイメージを立体化する活動② 完成した立体作品をもとに絵として再表現する活動という二段階の制作プロセスを実施した。本活動は、見本や正解を提示せず、子ども一人ひとりの内的イメージを起点とした自由表現を重視する構成であり、想像力を十分に膨らませながら制作に没入できる環境が整えられていた。2.心理学的分析2-1.想像(イメージ)と表象変換能力本活動の最大の特徴は、内的イメージを複数の表象形式(立体→平面)へと変換する経験にある。これは認知心理学に...
2026.01.04 05:16幼児の美術教室から幼児の美術教室から描くこと、作ることの中で、心は自由に動きます。思い通りにいかない線、にじんだ色、途中で立ち止まる時間。それは失敗ではなく、心が生きて動いている証です。追いかけて、つまづいても、アートの中では、また笑って立ち上がることができます。なぜなら、作品は「うまくやる場所」ではなく、自分をそのまま許し、試し、認めていい場所だからです。表現することで、心は外に出ます。外に出た心を、私たちは眺め、少し距離をとって見つめ直すことができます。この体験が、感情を整理し、気持ちを整え、「またやってみよう」という前向きな思考を生み出します。アートは、無理に強くならなくていいことを教えてくれます。転んでもいい、迷ってもいい、揺れてもいい。それでも、色を重ねるたび...
2026.01.03 05:12発達支援・障害児教育における美術教育の理論と教育理念発達支援・障害児教育における美術教育の理論と教育理念―多様な発達を包摂する表現の場として ―1. 理論的背景:発達支援における美術活動の意義。① 発達の「ずれ」と「個別性」を前提とする視点。(Neurodiversity / 個別化教育)発達障害・知的障害・情緒的課題をもつ子どもたちは、能力の有無ではなく、発達の速度・経路・表出様式の違いをもっている。近年の神経多様性(Neurodiversity)の視点では、発達の違いは欠損ではなく、認知特性の多様性として捉えられる。美術活動は、言語能力や処理速度に強く依存せず、個々の認知様式をそのまま肯定的に可視化できる教育手段である。② ヴィゴツキー理論と支援的足場かけ。(ZPD / Scaffolding)発達...
2025.12.30 04:17表現的態度を育む美術教育表現的態度を育む美術教育教育理念文私たちは、美術教育を「上手に作るための学習」ではなく、人が人として在るための表現の場として位置づける。人は、安心が満たされ、自らの内に湧き上がる感覚や思いを受け止められたとき、初めて自由に表現することができる。マズローが示した「表現的態度」は、評価や正解を求める対処的態度を超え、自己と世界を結び直す人間本来の在り方である。本教育では、見本や完成形を先に示すことをせず、子ども一人ひとりの記憶・感覚・想像を表現の出発点とする。そこでは、結果の優劣よりも、考える過程、試行錯誤、迷い、ひらめきそのものに価値が置かれる。美術表現とは、技術の証明ではなく、存在の肯定である。描くこと、つくることを通して、子どもは「自分は感じ、考え、...
2025.12.24 14:55子どもの美術活動が育む「生きる力」に関する解説。子どもの美術活動が育む「生きる力」に関する解説。幼児期を含む子どもたちが美術活動に取り組む過程は、単なる造形技能の獲得にとどまらず、思考・アイデア生成・能力の統合、そして完成へと至る一連の認知的・心理的プロセスを内包している。これらのプロセスは、発達心理学および教育学の観点から「生きる能力(life skills)」の基盤形成に深く関与していると考えられる。1. 思考とアイデア生成:内的表象の形成と拡張。美術活動における思考とは、外界の刺激や内的経験(記憶・感情・想像)をもとに、頭の中にイメージを構築する過程である。特に幼児期は、言語的思考よりも感覚的・直感的思考が優位であり、美術表現はこの段階における最も自然な思考様式の一つである。このとき子どもは、...
2025.12.23 14:50子どもの手子どもの手子どもの手は、単なる「道具」ではありません。そこには、感じたことを受け取り、考え、想像し、形へと導く力が宿っています。一本の線、ひとつの色、そのすべては手を通して心とつながり、まだ言葉にならない思いまでも表現へと変えていきます。子どもたちは、手を使うことで未知の世界を創り出します。それは正解のある作業ではなく、自分だけの発想を試し、広げ、深めていく行為です。その過程にこそ、創造性や主体性、そして生きる力が育まれていきます。障害の有無は、創造の本質とは関係ありません。鉛筆の持ち方や手の使い方が一般的でなくても、それは「間違い」ではなく、その子なりの表現のかたちです。大切なのは、どのように持つかではなく、何を思い、何を生み出そうとしているのかとい...
2025.12.21 11:20今日の美術教室。今日の美術教室。あらゆる美術実践における子どもの想像性・受容性と指導者の省察1.背景・目的事前準備が十分でなかったものの、実施された美術教室において、子どもたちが示した想像性・発想の柔軟性、およびその過程を俯瞰的に捉えた指導者自身の省察を記録・分析することを目的とする。特に、計画された教材や画材の有無が、子どもの想像的思考にどのような影響を及ぼすのかについて、実践を通して考察する。2.実践の概要本実践は、前日に突発的な依頼を受けて開講した美術教室である。指導者は依頼を受諾したものの、当初想定していた画材が揃わないという不安を抱えた状態で臨んだ。しかし、教室開始後、子どもたちはその状況を抵抗なく受け入れ、提示された環境の中で主体的に制作活動へと没入してい...
2025.12.19 11:35記憶と想像のみに基づく幼児の描画能力に関する解説。記憶と想像のみに基づく幼児の描画能力に関する解説。1.はじめに幼児が「何も観ずに」、すなわち視覚的モデルを参照せず、自身の記憶と想像のみを用いて描画する行為は、単なるお絵描きの範疇を超えた高度な認知活動である。この表現行為には、知覚・記憶・想像・構成・運動制御といった複数の心理機能が統合的に関与している。2.記憶に基づく表象形成(表象機能)発達心理学において、幼児期後半(概ね5〜6歳)では、『内的表象(mental representation)』を用いた思考が顕著に発達する(Piaget)。何も見ずに描く行為は、 • 過去の経験を視覚イメージとして保持し • それを必要に応じて想起・再構成し • 平面上に再表現するという高度な表象操作能力を示している...
2025.12.18 11:25想像を表現へと転換する過程は、内的イメージの生成、感情の喚起、象徴化、そして運動表出という複数の認知・心理機能を統合的に働かせる活動発達に課題のある子どもたちが、楽しいクリスマスという情緒的に肯定的なテーマを想像し、サンタクロースを自由に描く活動は、発達心理学および教育心理学の観点から重要な教育的意義を有する。想像を表現へと転換する過程は、内的イメージの生成、感情の喚起、象徴化、そして運動表出という複数の認知・心理機能を統合的に働かせる活動である。特に発達に課題のある子どもにとって、言語化が困難な感情や思考を視覚的表現として外在化できる点は、自己理解や情動調整の促進に寄与する(Vygotskyの象徴機能論に基づく)。さらに、作品を完成させる経験によって得られる達成感は、Banduraの自己効力感理論における「遂行達成経験」として位置づけられ、自身の能力を肯定的に認知する基盤となる。...
2025.12.13 05:24発達に課題のある子どもにおけるアート表現の心理・教育的意義発達に課題のある子どもにおけるアート表現の心理・教育的意義― 内的表象の外化と自己効力感形成を支える実践的応用 ―要旨(Abstract)本応用研究は、発達に課題のある子どもがアート表現を通して示す「得意げな表出行為」に着目し、その心理的・認知的意義および教育的支援方法を明らかにすることを目的とする。発達心理学、特別支援教育、美術教育学の理論を基盤に検討した結果、アート表現は言語的制約を超えた内的表象の外化を可能にし、自己効力感、情動調整、主体性の形成に寄与する有効な支援手段であることが示唆された。1. 研究背景発達に課題のある子ども(自閉スペクトラム症、ADHD、知的発達症、発達性協調運動症など)は、 • 感情や意図の言語化 • 自己表現 • 成功体...
2025.12.10 10:35今日はマーブルランの活動を行いました。今回は、アートではなく、想像に焦点を当ててみました。今日はマーブルランの活動を行いました。子どもたちは「ピタゴラスイッチ」を思い浮かべるように、頭の中のアイデアを試しながら、“不可能を可能にしていく”創造的な挑戦に取り組みました。活動の中では何度も失敗を経験しましたが、そのたびに「どうすればうまくいくか」を自ら考え直し、工夫し、再挑戦する姿が見られました。このプロセスこそが、教育心理学でいう**探索的学習(trial and error learning)**であり、失敗を通して思考と行動を修正し、より良い解決方法へ向かう重要な学びです。また、行動心理学の観点では、成功に近づくたびに得られる達成感が「強化」となり、さらに取り組もうとする意欲(内発的動機...
2025.12.09 14:55ダンボール工作の発育的意義〈ダンボール工作の発育的意義〉― 3週間集中して仕上げた作品から見える発達 ―今回の作品は、3週間という長い期間、集中力を切らすことなく取り組み続けた点に大きな成長が見られます。ダンボールや割り箸、紙を組み合わせ、細部にまで工夫して仕上げた姿には、子どもの想像力・計画性・遂行機能が豊かに働いていました。■ 1. “頭の中の設計図”を形にする【認知発達】実際に紙に描いた設計図がなくても、「頭の中に完成形がイメージでき、それを作りながら微調整していく」これは、幼児期後半に育つ 心的イメージ力(メンタルイメージ) の発達を示します。心的イメージを保持し、作業しながら修正し続ける力は、● 問題解決● 創造的思考● 作業記憶を支える重要な認知能力です。■ 2. ...