支援学校中等部に通う生徒の美術活動における変容。
背景
この日3人目のアーティストは、支援学校中等部に在籍する男子生徒。これまでの活動において、彼はしばしば絵を描くことを躊躇する様子が見られていました。その理由は明確には把握されていませんが、描画活動に対する心理的なハードルがあった可能性が考えられます。
本日の活動
この日は、彼自身から「絵を描きたい」と言葉にし、積極的に制作に取り組みました。特筆すべきは、近頃指摘されている身体能力の向上が、描線の安定性や力強さに反映されていた点です。輪郭線はこれまでにないほど明瞭で、手指のコントロールの向上が顕著に現れていました。
その後の着色過程においては、色彩感覚の豊かさが際立ち、構成・選色ともに独自性に富んだ美しい仕上がりを見せました。
考察
制作を通じて得られた達成感は、本人の表情や言動からも明らかであり、作品完成時には高い高揚感が観られました。それは、自己肯定感の向上につながり、成功体験として彼の内面的な成長に寄与したと考えられます。
結論
今回の事例は、子どもが自らの意思で創作に踏み出した瞬間が、心身の成長と深く結びついていることを示す貴重な記録です。特に、表現活動を通じた「自分にもできる」という実感は、今後の挑戦への自信となり、非認知能力の発達にも寄与するものと考えられます。
0コメント