今、たんぽぽのわたげでは、万博にちなんで「ミャクミャク コンテスト」を催しています。
子どもたちそれぞれの認知力や想像力、そして表現力が発揮されていてとても楽しい催し物となっています。
そのことから、今回は、モンテツリーにおける美術教育理念:想像と創造の育成を目指してを考えてみました。
はじめに
現代の教育において、知識の習得に偏るのではなく、子ども自身の内側から湧き上がる力、すなわち「想像」と「創造」の育成が重要視されています(Eisner, 2002)。美術教育はその中核を担う存在であり、モンテツリーにおいてもこの二つの要素が教育理念の中心に位置づけられています。本稿では、モンテツリーの美術教育理念における「想像」と「創造」の意義を明らかにし、その背景にある理論的枠組みと教育実践について考察します。
1. 美術教育における「想像」と「創造」の理論的基盤
美術教育の研究において、エリオット・アイスナー(Eisner, 2002)は、芸術がもたらす認知的・情意的発達の価値を強調しており、「芸術を通じた知の多様性の理解」が、子どもの発達において不可欠であると述べています。また、ハワード・ガードナーの多重知能理論(Gardner, 1983)においても、視覚・空間的知能は創造的思考を育む基盤であり、芸術はその発達に貢献する領域として評価されています。
2. モンテツリーの美術教育における実践的アプローチ
モンテツリーでは、「教える」ことよりも「引き出す」ことを重視しています。子どもが主体的に選び、考え、試すことができるように、環境構成や素材の選定が工夫されています。例えば、ある活動では画材の使い方をあえて限定せず、「これはどう使う?」と問いかけることで、子ども自身がイメージを膨らませ、独自の表現へと導かれます。
このような実践は、レッジョ・エミリア・アプローチにも共通する理念を持つ。リョリス・マラグッツィ(Malaguzzi, 1993)が提唱した「百の言葉」は、子どもが多様な方法で世界を表現・解釈する能力を持っていることを認め、それを美術表現を通じて引き出すべきであるという考えに通じます。
3. 想像と創造がもたらす教育的効果
子どもが自由に想像し、それを創造という行動に結びつける過程は、単なる技能習得を超えた深い学びを生み出します。これは、探究心、自信、そして他者との対話を通じた協働性の発達へとつながります(Vecchi, 2010)。また、自己表現の手段を持つことは、非認知能力(grit, curiosity, empathyなど)の涵養にもつながり、長期的には社会的・感情的スキルの基盤を形成します(OECD, 2015)。
まとめ
モンテツリーの美術教育理念における「想像と創造」は、単なる作品づくりにとどまらず、子ども一人ひとりの個性と可能性を開花させる教育的営みです。今後の美術教育においては、こうした理念をいかに日常の保育や教育実践に落とし込むかが重要な課題となります。
参考文献
•Eisner, E. W. (2002). The Arts and the Creation of Mind. Yale University Press.
•Gardner, H. (1983). Frames of Mind: The Theory of Multiple Intelligences. Basic Books.
•Malaguzzi, L. (1993). For an Education Based on Relationships. Young Children, 49(1).
•Vecchi, V. (2010). Art and Creativity in Reggio Emilia. Routledge.
•OECD. (2015). Skills for Social Progress: The Power of Social and Emotional Skills. OECD Publishing.
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