2匹のワニ

障害のある子どもが赤色系と青色系の2匹のワニを描きました。
なぜ、そのようなアートの活動をしたのか?と言われると、これまで彼の作品がカラフルに仕上げたことから、色に対する認識の確認とともに、色についてどのように意識をしているのかを確認するため、この取り組みを行いました。
この活動の中で、赤色系、青色系と分類する上で、これまでの作品作りによって本人もよく理解でき、仕分けが出来ています。
また、意見交換で色に対する自身の思いを表現するといった色彩感覚の問答を行いました。
これらの結果が、今回の作品に表現されていると思われます。

そのことから脳科学からみた感覚と表現は、どのように考えられるか?
子どものアートにおける限られた色使いは、脳科学の視点から見ると非常に興味深い現象です。
子どもの脳は発達途上にあり、色や形を通じて周囲の世界を理解し、表現する能力が急速に発展します。 以下に、脳科学の観点から限られた色使いが子どもの感覚と表現にどのように影響するかを考察します。

色と脳の発達
視覚的処理
子どもの脳は色を識別し、処理するための視覚野が発達します。限られた色を使用することで、子どもはその色の特徴やニュアンスに敏感になり、視覚的処理能力を鍛えます。色の識別や配色の理解は、視覚野の発達に重要な役割を果たします。

創造性と想像力
限られた色の中で創造的に表現することで、子どもは脳の前頭葉を活性化させます。前頭葉は創造的思考や問題解決能力に関連しており、限られたリソースを使って新しいアイデアを生み出す能力を育みます。

感情の表現
色は感情と強く結びついています。限られた色を使うことで、子どもはその色を通じて感情を表現する方法を学びます。例えば、赤は興奮や怒り、青は冷静や悲しみを表現することができます。これにより、感情認識と自己表現の能力が向上します。

限られた色使いの効果
集中力の向上 限られた色しか使用できない場合、子どもはその色をどのように使うかに集中する必要があります。これにより、注意力と集中力が養われ、細部に注意を払う能力が向上します。

問題解決能力の向上
制約がある中で表現を行うことは、子どもに創造的な問題解決を促します。どの色をどのように使うかを考えることで、論理的思考と計画性が鍛えられます。

抽象的思考の発達
限られた色を使って複雑なアイデアを表現することは、抽象的思考の発達に寄与します。色の組み合わせや配置によって、具体的な形や物体を描くことなく、概念や感情を伝える方法を学びます。

脳科学と教育
美術教育の重要性
美術教育は、子どもの脳の発達において非常に重要です。特に、限られた色使いを通じて創造力を刺激することは、認知能力や感情の発達に寄与します。

多様な表現方法の提供
教育現場では、子どもに多様な色や材料を提供するだけでなく、時には限られた色を使って表現する課題を与えることで、創造性と問題解決能力を育むことができます。

まとめ
限られた色使いによる子どものアートは、脳の発達に多くの利点をもたらします。 色の識別や視覚的処理能力の向上、創造性や問題解決能力の発達、感情表現の強化など、様々な面で子どもの成長を支えます。これらの経験を通じて、子どもはより豊かな表現力と柔軟な思考力を身につけることができます。 

大場六夫's Art Random 僕の美術教育論

アートでできること。アートを理解する。アートで支援。アートで隔たりのない社会づくり。

0コメント

  • 1000 / 1000