障害児が美術作品を仕上げるまでの心の動きと描き上げるための心境。

障害児が美術作品を仕上げるまでの心の動きと描き上げるための心境。

障害児が美術作品を描き上げる過程で、心の動きや思考により、個々の障害や個性に応じてさまざまな形を取ります。以下は、その過程における一般的な心の動きや思考の例です。

感情の表出
障害児にとって、絵を描くことで言葉で表現するのが難しい感情や考えを、自分の感情を表現する手段であることが多いです。そして色や形で表現しようとします。この過程で、喜びや不安、怒りといった様々な感情が作品に反映されます。

試行錯誤と自己表現の発見
描く過程では、何度も試行錯誤を繰り返すことがあります。特に、特定の障害がある場合、意図した通りに描くのが難しいこともありますが、それが独自の表現方法を生み出すきっかけにもなります。
手の動きをコントロールする方法や、色を使う方法など、自分なりの表現スタイルを見つけていく過程で、自己表現の新たな形を発見します。

集中力の発揮と流れの体験
絵を描くことに集中することで、時には「フロー状態」に入ることがあります。これは、時間や周囲の環境を忘れ、自分の内面世界と向き合いながら、作品に没頭する状態です。
これにより、通常の生活では見られないレベルの集中力や創造力が発揮されることがあります。

課題や制約への対応
身体的、認知的な制約がある中で、それらをどのように乗り越えるかを考えることが重要です。
例えば、手先の不器用さがある場合、太い筆を使うことや、指で直接描くことを選択するなど、適応的な工夫が求められます。このような工夫を通じて、自己効力感が高まり、自信を持って作品を仕上げることができます。

完成と達成感
作品が完成すると、大きな達成感が得られます。
障害児にとって、完成した作品は自分の努力と創造力の証であり、それを通じて自己肯定感が高まります。また、他者からのフィードバックや称賛も重要な要素で、これが次の創作活動へのモチベーションとなります。

外部からの影響やサポート
教師や家族、友人からのサポートも大きな影響を与えます。適切な指導や励ましは、作品制作のプロセスを支える重要な要素です。
また、褒められることで自信がつき、次の挑戦への意欲が高まります。

障害児が美術作品を仕上げる過程は、彼らにとっての成長の場でもあり、感情や思考の変化が反映される非常に豊かなプロセスです。

大場六夫's Art Random 僕の美術教育論

アートでできること。アートを理解する。アートで支援。アートで隔たりのない社会づくり。

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