今、なぜ子どもに美術教育が必要なのか 。
近年、子どもたちの中に「自分の思いを表現できない」「間違うことを恐れる」姿が多く見られるようになっています。
学校や社会の中で「正しい答え」を求められる場面が増える一方で、子ども自身の感じ方や考え方が尊重されにくい環境が広がっています。
たとえば、
「答えが違う」と非難される。
「そんなことはだめ」と否定される。
「自分の思い」が受け止められない。
このような経験の積み重ねが、子どもたちに「どうせ分かってもらえない」という思いを抱かせ、
やがて自分の中の考えや感情を表に出すことを避けるようになります。
その結果、自信の低下や自己肯定感の揺らぎが生まれ、学びへの意欲や人との関わりにも影響を与えかねません。
私たちは、この現状を踏まえ、子どもが自由に感じ、想像し、自分の思いを形にできる場として、美術教育を位置づけています。
美術は、「正解」を求める学びではありません。
子どもが自ら考え、試し、表現する中で、
「自分の思いを表してもいい」
「自分の感じたことには意味がある」
という体験を積み重ねていくことができます。
このような学びの過程が、子どもたちの『心の回復力(レジリエンス)』を高め、他者と自分を尊重しながら生きる力へとつながります。
美術教育は、単に絵を描く技術を学ぶ場ではなく、子どもが自分自身と向き合い、心を育てるための教育的な営みです。
私たちは、子どもたちが安心して「自分」を表現できる時間を大切にし、
一人ひとりの中にある想像と創造の力を育んでまいります。
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