いつもなら表現豊かにアート活動をするのですが、その能力が発揮できるように見えなかったことから原点に戻り塗り絵をしました。

本日は、いつもなら表現豊かにアート活動をするのですが、その能力が発揮できるように見えなかったことから原点に戻り塗り絵をしました。

この一連の出来事を考察します。

1. 状態依存的パフォーマンス(State-Dependent Performance)

心理学において、「状態依存的学習」や「状態依存的パフォーマンス」と呼ばれる現象があります。これは、個人の心理的・身体的状態(気分、疲労、ストレスなど)が、その人の能力やパフォーマンスに影響を与えるというものです。たとえば、同じ子どもでも、リラックスして安心できる状況と緊張や不安を感じている状況では、まったく違った行動や成果を示すことがあります。

2. ユニバーサルデザイン教育(Universal Design for Learning: UDL)

UDLは、多様な学習者の違いを前提とし、その日の状態や個別のニーズに応じて柔軟に支援・指導を調整する教育デザインです。子どもの「できる/できない」は固定的なものではなく、状況に応じて変動するという視点を持ち、常に個に寄り添った支援を提供することが重要視されています。

3. レジリエンス理論

レジリエンス(心理的回復力)に関する研究では、支援者が子どもの一貫しない行動や気分の揺らぎを受け入れ、柔軟に関わることが、子どもの自己肯定感や適応力の向上に寄与するとされています。つまり、「その日の状態に応じた関わり」が、長期的な成長を支える要素になります。

4. Vygotskyの最近接発達領域(ZPD)

ヴィゴツキーは、子どもには「自力でできること」と「支援を受ければできること」の間にある「最近接発達領域(ZPD)」があると述べました。支援者はこのZPDを見極め、その時々の能力に応じて支援を調整する必要があります。これはまさに、「その日の状態に応じて最大限の力を引き出す」アプローチです。

5. トラウマインフォームドケア(Trauma-Informed Care)

特に発達障害や過去のトラウマを持つ子どもに対しては、感情や行動の起伏が大きくなりやすいです。トラウマインフォームドケアでは、「何がこの子をこうさせているのか?」という問いを持ち、行動の背後にある心理的背景を理解し、その日の状態に寄り添う支援が求められます。

結論

子どものその時々の状態や気分に応じて支援の在り方を柔軟に変えていくことは、単なる感情的な配慮にとどまらず、学術的にも裏付けられた効果的な支援の在り方です。そのような関わり方が、子どもの自己効力感を育み、発達を促す土台となります。


大場六夫's Art Random 僕の美術教育論

アートは、膨大だ。想像は、無限。そのアートを子どもたち(障害児を含む)と一緒に取り組んでいます。参加者募集中です。全国どこからでも参加いただけます。

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