本日(28日)のアート活動レポート(年長組幼児)

本日(28日)のアート活動レポート(年長組幼児)

本日の年長組幼児のアート活動では、幼児が色彩豊かで個性あふれる作品を制作しました。特に注目すべきは、作品で、マーカー、絵の具、さらにチラシを用いたちぎり絵など、複数の技法を自在に組み合わせながら表現を広げたことから素材への感覚的な興味と、構成力の高さが光る仕上がりとなりました。

発達心理学的視点

この幼児の制作プロセスからは、認知的柔軟性(cognitive flexibility)の発達が窺えます。

作品においては、素材や手法を即座に切り替えながらも、全体の調和を崩さず、テーマを展開していく力が観られました。これは、年長期に発達する「自己制御力」や「問題解決能力」が、創作活動の中で実践されていることを示しています。

また、母親からの連絡帳に「ルールを守れるようになった」「間違いに気づき自ら修正できるようになった」との記載がありました。これはメタ認知の発達(自分の行動や思考を客観的に振り返る能力)を意味し、アート活動がそのような内面的成長に寄与していることが窺えます。

行動心理学的視点

行動心理学では、「成功体験を通して行動が強化される」と考えられています。この幼児は、活動中に次々と作風を変化させることを楽しんでいて、自己表現が肯定される環境の中で創造性への動機づけが強化されているといえます。加えて、ルールを守る・自ら修正するといった行動は、日々のアート活動の中で「行動と結果の因果関係」を学ぶ機会が多く、それが望ましい自己調整行動の定着につながっています。

アート思考の反映

この活動は、まさに「アート思考」の実践といえます。アート思考は、正解のない問いに対して自分なりの解を見つけ、表現する力を重視します。今回の幼児は、自分の感覚や閃きを信じ、迷いなく創作を進めていきました。その中で生まれた表現は、単なる技巧の寄せ集めではなく、その子の今の心の状態や価値観を映し出した表現となっています。

まとめ

このアート活動は、単なる造形表現にとどまらず、子どもの心の発達・行動の質の向上・想像的思考の育成が統合された学びの場となっていました。

今後も一人ひとりの内面の成長を丁寧に観察しながら、アートを通して「生きる力」を育てていきたいと感じた一日でした。


大場六夫's Art Random 僕の美術教育論

アートは、膨大だ。想像は、無限。そのアートを子どもたち(障害児を含む)と一緒に取り組んでいます。参加者募集中です。全国どこからでも参加いただけます。

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