色画用紙で帽子作りをやり遂げた活動の心理学的・学習的意義

色画用紙で帽子作りをやり遂げた活動の心理学的・学習的意義

1. 「周囲の刺激に影響されず、自分の表現を続けた」ことの意義

周りにさまざまな遊びがある環境は、幼児にとって大きな誘惑です。

その中で制作活動を続けることができたという事実は、

• 選択的注意(Selective Attention)

必要な刺激にだけ意識を向け、不必要な刺激を抑制する力。

幼児期に育まれる重要な認知機能で、学習場面の集中力の基盤となる。

• 自己調整能力(Self-Regulation)

「今はこれを完成させたい」という内的動機を維持し、外の刺激に流されない力。

この2点がとてもよく発揮されていたと言えます。

これは 将来の学習態度や課題遂行スキルにもつながる大きな成長です。

2. 「失敗しても続ける姿勢」が示す心理的成長

何度もうまくいかない場面があったにも関わらず挫けなかった点は、心理学でいう

• レジリエンス(逆境を乗り越える力)

• マインドセット(特に成長マインドセット)が育っている証拠です。

失敗しても「次はこうしてみよう」と考えられる姿勢は、

幼児期の創造活動ならではの「試行錯誤の学習」がよく表れています。

3. 「頭の中のイメージを形にした」という高度な思考過程

設計図や見本がなくても、自分の頭の中にあるイメージを形にすることは、

• 視空間イメージの操作

• 計画性を伴う創造的思考

• メタ認知(自分のやり方を自分でモニタリングする力)

といった認知発達の側面が関わります。

これは単なる工作以上の学びであり、

「思考 → 試す → 修正する → 完成する」

というプロセスを自ら経験したことが、最も大きな価値です。

4. 「やり遂げた」という達成感がもたらす学習効果

完成まで取り組んだ経験は、子どもの内的動機づけを高めます。

• 自分で選んで作った

• 自分で考えて作り切った

• 完成したものが自分のイメージと重なった。

この3つが揃った時、脳内では「成功体験」が強い記憶として残り、その後の活動でも 挑戦する力・継続する力を支えます。

これは心理学でいう 自己効力感(Self-efficacy) の向上につながり、学習態度や新しいことへの意欲を高める非常に重要な要素です。

まとめ:今回の帽子作りは、「心」と「学び」の両面で大きな成長

• 周囲に流されず、自分の表現を続けた集中力

• 失敗しても挑戦し続けた粘り強さ

• 頭の中のイメージを形にする創造的な思考

• 完成したことで得た深い達成感と自己効力感

これらすべてが相まって、

今回の制作は 心理的成長・認知発達・学習態度の向上が見られるとても価値のある体験でした。


大場六夫's Art Random 僕の美術教育論

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