子ども(発達に課題のある)たちの美術活動。
活動内容:粘土による立体表現「カッコいいスーパーを作る。」
1.活動の概要
子どもは「カッコいいスーパーを作りたい」と自らテーマを決め、粘土を用いて制作に取り組みました。
構想段階から主体的に発想し、どのような形や構造にしたいかを考えながら制作を進めました。
完成後、本人は「思っていたのと違う」と仕上がりに対して不満を示していましたが、制作の過程では集中して手を動かし、工夫を重ねる姿が観られました。
2.観察と評価
制作中は、試行錯誤を繰り返しながら制作していました。自分の思い描くイメージと、実際に手で形づくる現実との間に差があることを体験することは、表現活動における重要な学びです。結果に満足できなかったとしても、そこで感じた「うまくいかない」「もっとこうしたい」という感情は、次の創作への意欲や思考の深化へとつながります。
私としては、完成度よりも「最後まで自分の考えを持って作り上げた」という点を高く評価したいと感じました。過程を大切にしながら、最後まで諦めずに取り組む姿勢は、自己効力感の形成や達成感の芽生えにつながる大切な経験となりました。
3.心理的・教育的考察
本活動は、達成動機づけや自己決定感を促す好例です。子どもが自らテーマを発案し、主体的に行動することによって、内発的動機づけ(やってみたいという気持ち)が強化されました。また、結果に不満を感じたこと自体も、自己評価やメタ認知の発達に関わる大切なステップです。
「どうすればもっと思いどおりにできたか」を考える経験は、創造的思考や問題解決能力の基礎を育てます。美術教育においては、結果よりも過程を大切にすることが、まさにこのような内面的成長を支える鍵となります。
4.まとめ
仕上がりに満足できなかったとしても、楽しんで取り組めたこと自体が大きな成果です。活動中に見られた集中力、粘り強さ、試行錯誤の姿勢は、創造的表現の力を着実に育んでいます。今後も、完成度にとらわれず、「つくる過程の楽しさ」や「思いをかたちにする喜び」を大切にしていきたいと考えます。
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