子どもの手
子どもの手は、単なる「道具」ではありません。
そこには、感じたことを受け取り、考え、想像し、形へと導く力が宿っています。
一本の線、ひとつの色、そのすべては手を通して心とつながり、まだ言葉にならない思いまでも表現へと変えていきます。
子どもたちは、手を使うことで未知の世界を創り出します。
それは正解のある作業ではなく、自分だけの発想を試し、広げ、深めていく行為です。
その過程にこそ、創造性や主体性、そして生きる力が育まれていきます。
障害の有無は、創造の本質とは関係ありません。
鉛筆の持ち方や手の使い方が一般的でなくても、それは「間違い」ではなく、その子なりの表現のかたちです。
大切なのは、どのように持つかではなく、何を思い、何を生み出そうとしているのかという内面の動きです。
想像は、制限されるものではなく、尊重されるもの。
その想像がすべてとなり、限りない表現へとつながっていく――
手から始まるアート活動は、子ども一人ひとりの可能性を静かに、そして確かに広げていく、かけがえのない営みなのです。
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